Department Store
過去、秘密、嘘・・・
彩られてまみれて生きて現在に。
過去を振り返らずこの街で自分をかけて形づくろうと生きて。
意地を張らずに何かあればあの街に行けばよかったのに。
デパート、ショッピングモール、実は好きという。
影響はまちがいなくあのデパート。あれもあれも。あの近隣。
全盛期はすごかった。
人々の来館数、レストランと今でいうフードコートの味も店内のレイアウトも充実、アパレルショップのおしゃれさ店員のかっこよさ、おもちゃ売り場のときめき、本屋の魔法、屋上やテラスにつくられたプレイゾーン遊具の魅力/ゲームの刺激、子供がいっぱい、大人がいっぱい・・・
家族と出向き、ひとりでもバスで、友人とも時には自転車で。ありえない距離でも。遠。
大人になり、別の街へ。気持ちも距離もさらに遠ざかり。
たまに何かのついでに覗くことはあった。
でも、もうときめくことはないし、小さなつくりが気になったし、ショッピングモールやネットの世界におされてさびゆく現実が目についた。
と思っていた。
閉館が決まる。
その日までのカウントダウン時計と、歴史を彩る写真やメディアに載った記事/宣伝広告が飾られた。
素敵だった。
エスカレーターの一角に。
その頃にはあの有名なエスカレーターではなくなっていたけれど。
過去を見ないことで良い部分もときめきも忘れてしまっていただけ。
閉館した。
行こうと思ってももうないという。
形がそこにはない。
もっと行けば、いまなら気づくこともいっぱいあっただろう。
地方のデパートが閉館するというニュースを聞くとすごくさみしく悲しくなる。
そこに存在しているだけで意味があるのに。
呑気なことをいうなって言われるか。
子供のときに見たあれらはどこに行ったんだろう。どこで生きているんだろう。
だが。
生きている。
昨年、跡地に新しい商業施設ができた。
昔の名残りがあるつくりなようだ。
違うものだけれど新たな物語も生まれるはず。
きっとね。
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